はしもと人を発見!【2017.6月号】

経験×学び×感性で
完成度を高める

フローラル・アート・スタジオK
工藤 長子さん


踏まれても 根強く忍べ道草の やがて花咲く 春は来ぬべし

言い回しは多数あるが、
踏まれても耐え忍ぶ道草に花咲く春は、来るに違いない。という趣旨の
作者も出典も作られた時代さえも分からない道歌。

「この言葉が大好きで」とこの歌を胸に
フラワーデザインで数々の賞を総なめにしている
一級フラワー装飾技能士が東橋本にいる。趣味はカラオケ。

フラワー装飾技能コンクールでの多数の金賞受賞から
10年に1度オランダで開催される国際園芸博覧会に日本代表として招待される経歴を持ち、
横浜ランドマークタワーやレストラン、シェ・松尾の装飾をした経験もある。

勿論ブーケや、お飾り、クリスマスリースの制作とその活動は多岐にわたっている。

そんな工藤さんは「大会での私の作品は、地味で小さいのよ」と言う。
しかし数々の賞を受賞しているのは何故なのか。
それは素朴だけど完成度の高い作品だからだ。

工藤さんの出身は宮崎。
そこで工藤さんは幼い頃、庭を竹箒で掃く際はその跡をデザインして遊び、
連れられてよく里山を歩いた。
その経験は「作品作りで一番大切にしてます」と話すフラワーアレンジメントの
『空間とライン』創りの礎となった。

20歳頃には「ご隠居さんみたいね」と言われながらも、
盆栽に興味を持ち学んだ結果、花のみならず枝もデザインに組み込めるようになった。

更には「外国から来た先生や他の人の作品は徹底して見に行きますね」
「美術館や書展とか感動するものを見に行きますよ」と、
あらゆる方向からの勉強と、これまでの経験が完成度の高い作品を創り出す事を
可能にしていたのだ。

そんな工藤さんは、作品創りにおいて基礎が一番重要だと話す。
それは見え方にも顕著に表れるという。

例えば、花をある一点に向かって挿すという基本が
あり、完成した姿では花の量が多く根元が見えなくなっているが、
「基本に則って、挿してある花は確かに綺麗なんです」とその大切さを教えてくれた。

工藤さんは「作られたものより自然が好きなの」と話す。
それは経験と知識、磨かれた感性で、自然の儚さや健気さの中にある
強さを感じ取れるからではないだろうか。

工藤さんの完成度の高いフラワーアレンジメントには、
洗練された思考があった。

byまー/写真:YOKO

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