「橋本郷土カルタ」であなたも “橋本の達人”に!!『わ』
こんにちは!めぐり報です!
「橋本郷土カルタ」であなたも
“橋本の達人”に
今回は13枚目の「わ」のご紹介です。
「若い衆 狐に化かされ 尿(いばり)飲み」
(橋本の民話『白い首』より)
橋本宿の茶店の主人は、毎日のように八王子へ仕入れに行った。
雨や雪の日は、荷車での御殿峠の上り下りは大変だった。峠で休んでいると
女に化けた狐に、仕入れた鮭や稲荷寿司が度々盗まれた。
ある日主人は狐を捕まえてやろうと、米を酒に浸した稲荷鮨を
荷車に積んで置いていた。そうともしらずにそれを食べた狐が酔って寝たので、
主人は狐を荷車に乗せて茶屋へ帰り、柱にくくりつけ村の若い衆に
酒を振る舞い峠の出来事を話して聞かせた。やがて、酔いの冷めた狐は
「もう二度としません。今夜はお酌をするから許してください…」
というので細い縄でしばりお酌をさせた。狐は白粉を首までつけ
きれいな女になって上手にお酌をするので、若い衆はがぶがぶ飲み
すっかり酔ってしまった。ふと見ると狐は縄から抜けていなくなり、
若い衆がしこたま飲んだのは馬の小便だった。
今回の札は、『へ』に続き『橋本の昔話』(加藤 重夫著)に載っている、橋本に伝わる『白い首』という民話です。
『へ』は狸 🦝のお話でしたが、今回は狐 のお話で、解説にもう少し付け加えてみますと…
時は明治20年頃(1887年頃)茶店の主人は要八さんといい、茶店はおかみさん名義で開いた『花むら』という名で、たいそう繁盛していたそうです。
要八さんは気のいい人で、自分の店の仕入れの他にも、近所の頼まれ物などを引き受けてくれるので、村の人々に「便利屋」と呼ばれていたとのことです。
要八さんが狐をつかまえて『花むら』に連れ帰ってからの経緯は、読み札の解説の通りですが、その後はどうなったかというと……
お酒のつもりで馬のオシッコをガブガブ飲まされていた若い衆たちは、皆たいそう怒って、狐を縛っていた縄で要八さんを縛ってしまいました
要八さんは飲み直しの酒を買うことで許してもらい、若い衆たちは両国橋上流の精進場で、身体を洗ったりうがいをした後、また座敷で朝まで酒呑みが始まったとのことです。
しかし、それ以後村の衆は「白い首のきれいな女は恐ろしい」と、茶屋遊びをやめて家で晩酌 をするようになり、朝早くからしっかり稼いで平和な宿場に戻ったということです。
その後、要八さんは、狐がいなくなった後に残されていた二枚の木の葉 を神棚に上げて、商売の守り神として大切にしていたそうです
★『花むら』は、以前両国橋付近にあった頃の料亭『小田原屋』の駐車場だった場所に実在した お茶屋さんで、三味線を弾く女性が3人くらいいて、大正末期まで営業をしていたそうです。
★お酒だと思ったら馬のオシッコ、おはぎだと思ったら泥だんご…
なんて物語は全国あちこちにありそうですね。
たいてい狐や狸のせいにしていますが、本当は…?
くれぐれも飲み過ぎ 🥴 にはご用心
*大人の皆さんには…
- 『橋本の昔話』加藤 重夫 著
- 『相模原民話伝説集 増補改訂』 座間 美都治 著
- 『じじのかたり』小山 喜重 著
*こども達には…
『さがみはらふるさと紙芝居』の続き
6集〜10集をご紹介します。
- 6集 『むじな坊主』文:鈴木 賴子
- 7集『皇武神社のおきぬさま』文:高木 絹子
- 8集『火の坂下のたぬきぼさつ』文:高木 絹子
- 9集『日金沢の照手姫』文:村松 昭子
- 10集『でいらぼっち』文:村松 昭子
紙芝居、書籍ともに橋本図書館にありますので、ご興味のある方はぜひご覧ください